奨学金の利用者必見!返済の注意点まとめ

更新日:2020/02/14
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大学や専門学校に進学する際、奨学金を利用する人は全体の約5割を占めています。

学費や生活費など、用途自由のお金が借りられる奨学金制度はとても便利ですが、卒業後に始まる返済のことを忘れてはなりません。

奨学金の返済は、「知らなかった」では済まされない重要なこと。

たとえ、地方自治体や独立行政法人といった公的機関が扱っている奨学金であっても、それが借金であることに変わりはありません(給付型は除く)。

長期にわたって延滞すると個人信用情報に傷がついてしまうため、住宅ローンや自動車ローンが組めなくなるなどのデメリットが生じる可能性も出てきます。

今後の生活に悪影響を及ぼさないためにも、奨学金を利用する前には、しっかりと返済について理解しておくことが大切です。

この記事では、奨学金の中でもっとも利用者が多く、大学生全体のうち2.6人に1人が利用しているという日本学生支援機構を例にご紹介していきます。

完済までにかかる年数や、返済の割賦方法、万が一延滞してしまった場合の対処法などを見ていきましょう。

また、現在返済中の方も利用できる「減額制度」や「返済期限猶予」についてもあわせてご紹介していきます。

完済までにかかる年数は?

奨学金の返済回数と完済までにかかる年数は、返還方法や借用金額によって異なります。

まず、返済方式には、所得連動返還方式定額返済方式 の2つがあります。

所得連動返還方式は、平成29年度の奨学生より新たに導入されたシステムで、その名の通り所得に連動した額の返済をしていくことになります。

それゆえ、毎年の所得に応じて返済月額が変わるため、返還期間は定まりません。

対して、定額返済方式の場合は、基本的に決まった方法で返還額が割り出されるため、返還期間も併せて確認することができます。

定額返還の返済回数は、貸与総額 ÷ 下表の割賦金基礎額 を12倍して求めます。

(例)毎月3万円の奨学金を4年間(48か月)借りた場合
貸与総額144万円 ÷ 割賦金の基礎額11万円 = 13.09 、13×12 = 156 となるので、

返済回数は156回、完済には13年間かかることになります。

大雑把に考えると、大体月1万円~3万円の返済が10年~20年続くといった感じです。

返済が始まるのは貸与終了の翌月より7か月目ですから、スムーズに返していっても10年後の完済時には33歳、20年後だと43歳……!

利子が発生する第二種奨学金を借りている方は特に、できるだけ早く完済して返済総額を抑えたいところです。

最大年3%とはいえ、借りている年数が長くなればなるほど、利息の負担は増えていってしまいますからね……。

平成29年度の貸与利率一覧は、このようになっています。(平成30年1月現在)

年利は、利率固定方式が利率見直し方式かによって異なります。

できるだけ早く完済したい、少しでも利息負担を抑えたい!

そんな方は、繰上返還をしてみてはいかがでしょうか。

余裕のある月に少しずつ多く返していくだけでも、返済総額は大きく変わる可能性がありますよ。

返済用の口座変更には事前申し込みが必要

奨学金の返済は、奨学生が指定する金融機関の預・貯金口座からの振替(自動引落し)で行います。

奨学金の貸与が終了する前に、「口座振替(リレー口座)加入申込書」の手続きが必要となりますので、忘れず済ませておくようにしましょう。

確実に返済を行えるのであれば、登録する口座は返還者本人の名義でなくても構いません。

口座振替の加入申込書は日本学生支援機構に請求し、郵送もしくは金融機関の窓口で申込みます。

振替口座は多くの金融機関に対応していますが、外国銀行やネットバンクなど一部対象外のところもあるので注意してください。

ちなみに、引落しの手数料を奨学生が負担する必要はありませんのでご安心を!

振替口座は、普段よく使っている口座を設定するのがおすすめ。

給与振込と違う口座を設定すると、返済のたびに入金する手間がかかるうえ、残高不足でうっかり延滞してしまう可能性が高くなります。

また、メインバンクの変更などをきっかけに、奨学金の振替口座を変更することもあると思います。

口座変更の際には、加入時と同様、郵送か金融機関の窓口で改めて手続きを行いましょう。

手続きの完了後、新口座からの振替日が知らされることになります。

振替口座を変更するときに必要なものは以下の通りです。

  • 奨学金番号
  • 振替口座
  • 印鑑
  • 口座振替加入申込書
    (日本学生支援機構に申請を)
  • 郵送用封筒と82円切手
    ※郵送の場合のみ

新口座からの振替が開始されるまでには、1~2か月かかります

それまでの間、返済額は旧口座から引き落とされるので、解約しないよう注意してくださいね。

返済が厳しくなったら減額申請しよう!

何らかの事情が原因で、これまでと同じように奨学金を返済していくのが難しい、という状況に陥ってしまうこともあります。

そんなとき、ずるずると延滞してしまうのは絶対にダメ!

決められた額の返済が難しくなった場合、規定の条件を満たせば「減額返済制度」という制度を利用できる可能性があります。

減額返済制度
災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返済が困難な方の中で、当初の割賦金を減額すれば返済できる人が対象の制度。月々の返済が本来の2分の1になる
1回の願出につき適用期間は12ヶ月、最長15年まで延長可能。
※平成29年度以降採用の第一種奨学生で、所得連動返済方式を選択している場合、減額返済の申請はできません。

減額返済制度の適用の目安は、以下のようになっています。※例外もあり

所得証明書等の年間収入金額325万円以下
給与所得以外(自営業など)の所得を含む場合は、年間所得金額225万円以下

なお、返還者に扶養している家族がいる場合、1人につき38万円を収入・所得金額から控除することができます。

ちなみに、現在延滞している方が減額を申請することはできないので注意してください。

減額返済制度の申請には、住民税非課税証明書、所得証明書、市・県民税(所得・課税)証明書のいずれかの原本が、基本的に必要となります。

それに加えて、失業中、無職・未就職、低収入、災害、傷病などの理由によって異なる証明書を用意し、日本学生支援機構に申請しましょう。

急な病気や妊娠・出産などで収入が減ってしまった場合も、この制度を使えば無理なく返済を続けることができます。

ただし、減額返済制度というのは、あくまでも月々の返済負担が減るだけであって、返済総額が少なくなるわけではありません

返済負担が半分になるぶん、返済期間は2倍に増えることになりますので注意してくださいね。

延長期間の第二種奨学金の利息や、機関保証の保証料が徴収されることはないため、返済総額の変動はありません。

また、減額してもなお返済が困難である場合、一時的に返済をストップさせる「返済期限猶予」という措置をとることもできます。

基本的な猶予適用期間は通算10年ですが、一定の収入・所得を得るまで返済をストップさせるという特例も用意されています。

所定の書類を提出することで申請し、審査によって承認された期間は返済の必要がなくなるため、個人信用情報に延滞情報が登録されることもありません。

「このままでは返済できない」という状況に陥ると、つい焦ってしまう気持ちはわかりますが、しかるべき手順を踏んできちんと対処すれば大丈夫です。

まずはご自身の置かれた状況を把握し、延滞してしまう前にできることを考えていきましょう。

延滞してしまったときの対処法

返還期日に残高不足で、うっかり延滞してしまった……!

そんなときは、どのように対処していけばいいのでしょうか?

日本学生支援機構のHPには、「返済金を延滞すると、本人、連帯保証人、保証人に対して、文書と同時に電話による督促を行うこととしております」とあります。

期日までに返済できなければ、延滞している金額に対して年利率2.5%~10%の延滞金が課されてしまいます(採用年度、貸与終了年度によって異なる)。

参考:延滞金(日本学生支援機構HP)

振替不能の1回目、つまりはじめて延滞してしまった場合に限り、延滞金がとられることがありません。

たとえば10月27日に返済できなかった場合、11月27日に2か月分を合わせた金額が振替できればOKです。

ただし、延滞をしてしまうとその時点で、督促の電話や郵送通知が届くことは避けられません。

【延滞1回目のスケジュール目安】*10月27日に振替不能となった場合
11月7日以降  …督促の電話がかかってくる
11月10日以降 …本人に「奨学金返還の振替不能通知」が届く
11月17日以降 …本人に「個人信用情報機関への登録について(通知)」が届く
11月27日     …2か月ぶんの合計額を口座から振替

2か月分以上延滞してしまった場合には、返還期日分の割賦金とあわせて延滞金も振替えることになります。

また、3回滞納してしまうと、個人信用情報機関に延滞情報が登録されてしまいます。

これはいわゆる「ブラックリスト入り」と呼ばれるもので、奨学金完済の5年後までクレジットカードやローンの新規申込みなどができなくなってしまいます

ブラックリストに登録されてしまうと、今後の人生にも深刻な影響が出てきますので、くれぐれも延滞しないように気をつけてください。

延滞中、返還者の自宅や携帯に連絡がつかない場合は、職場に電話がいく可能性もあります。

さらに連絡がつかなければ、自宅訪問という形がとられることも(その場合、直接現金が徴収されることはありません)。

督促を受けてもなお返還に応じない場合、未返済額全額の一括返済の請求、保証人・連帯保証人への連絡、強制執行(差し押さえ)などの手段がとられることになってしまいます。

やばい、このままじゃ来月返済できないかも…

予定通りに返済するのが厳しいと感じたら、延滞してしまう前に各種制度の活用を検討しましょう。

先ほどご紹介した減額返済制度や返済期限猶予を申請しておけば、何のデメリットを被ることもなく、返済の負担を減らすことができます。

また、すでに延滞していても、傷病や生活保護受給中などの理由で現在真に返済が困難な場合は、返済期限の猶予をもらえる可能性があります。

現在の猶予と同時に申請し、延滞期間のうち猶予事由に該当する期間が認められれば、返済期限猶予が適用されるのです。

くり返しになりますが、返済はくれぐれも期日に遅れず行うようにしてください。

万が一延滞してしまった場合、日本学生支援機構からの連絡を無視したり、さらに延滞を重ねることは厳禁です。

翌月にはきちんと返還する姿勢を見せ、誠実な対応を心がけましょう。

平成16年度までに貸与開始した方は報奨金がもらえる可能性アリ!

この記事を読んでいる方の中で、以下の条件にすべて当てはまる人はいるでしょうか?

  • 第一種奨学金を利用していた
  • 平成16年度までに貸与開始
  • 現在も返済中
  • 最終割賦金の返済期日までには4年以上ある

この条件をすべて満たす方が、未返還の貸与総額を一括繰上返還した場合、その金額に応じた報奨金をもらえる可能性があるのです!

対象者の例
2003年(平成15年):4年制私立大学に入学(自宅外より通学)
2003年より4年間、第一種奨学金を利用
貸与月額は64,000円、返還回数は216回(18年)
返済が始まるのは2007年なので、最終返済期日は2025年に来る。
※最終の返済期日まで4年以上の猶予があるので、報奨金の対象者!
(※2018年1月現在)

もらえる報奨金の金額は、いつの時点で返還完了するかによって異なります。

返還開始日(第1回目の返還期日)の翌日から7年以内に返還完了した場合
※返還期限を猶予されている期間は除く
5%
返還開始日(第1回目の返還期日)の翌日から7年経過後に返還完了した場合
※返還期限を猶予されている期間は除く
3%

※最初から返済期間が4年以下の場合は,一度に返済しても報奨金の対象にはなりません。
※一部繰上返済した場合は,最終返済期日が変更になっている場合があり,報奨金の 対象とならない場合がありますのでご注意ください。

参考:返還のてびき(日本学生支援機構HP)

報奨金の申し込みは、日本学生支援機構の公式サイト「スカラネット」、電話・FAX、郵送から行うことができます。

一括返済するだけで余分なお金がもらえるなんて、なんだか得した気分になっちゃいますよね!

金銭的に余裕のある該当者の方は、ぜひ検討してみてください。

とっても嬉しい報奨金制度ですが、残念ながら現在は廃止されています。

平成17年度以降に貸与が開始した方はみな、例外なく報奨金の対象外となりますので、気をつけてくださいね。

制度の知識がスムーズな完済へのカギとなる!

近年、「奨学金地獄」「奨学金破産」といった暗いワードが飛び交っていますが、活用できる制度を知っているかどうかで返済負担は大幅に変化してきます。

代表的なものが、本文でも紹介した「減額返済制度」と「返済期限猶予」ですね。

奨学金の返済に困窮してしまう理由の一つとして挙げられるのが、「何度も延滞をくり返す」ということです。

延滞すれば、そのぶんの延滞金が発生するため返済総額が膨れ上がってしまいますし、督促に応じなければ、あなたの保証人や連帯保証人にも迷惑がかかってしまいます。

ですが、延滞するまえに制度の利用を申請して認定されれば、返済状況の悪化を食い止めることができるのです。

制度自体を知らなければ利用しようがありませんから、まずは「知っている」ということが大切になるわけですね。

いざというときには各種制度を活用しつつ、スムーズな完済を目指していきましょう。

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