事業資金の融資は金利相場を知ってから検討することが重要

更新日:2020/03/18
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事業資金を借りる時、事業主の皆さんはどこにまず借りに行かれますか?

公的機関、民間金融機関、ノンバンクなど借入する対象先は色々ありますね。

銀行のビルのイメージ

ところで借りる時の判断で最も優先する事項を問われると、ほとんどの事業者が金利の低さをまず一番に上げられると思います。

金利の高さが毎月の支払いに直結するので当然ですね。

しかし事業資金の借りる条件を金利だけで決めるのは早計です。

金利だけでなく、審査の早さや借りるタイミングも事業者にとって大事だからです。

もしいくら金利が低くても、事業者の資金が、審査が遅くて必要なタイミングに間に合わなかった場合、資金不足から事業者が倒産する可能性もありますよね。

そのようなことは絶対避けたいものです。

そこで、この記事では各金融業者の事業資金に関する金利相場やその融資スピードを踏まえ、どのように事業資金を活用したら良いか、詳しく解説します。

融資の金利相場と融資スピードは反比例する

事業者にとって事業資金の確保は、経営を円滑に進めるためにもとても大事です。

しかし日本の中小企業の多くは常に資金繰りの問題に頭を悩ましており、その解決のためには融資を受けるのが一番です。

ただ融資はあくまで負債なので利用には金利が掛かります。

一方でいくら金利が低くても、必要な時に融資が借れないのでは融資の意味がありません。

必要な時に借りられるタイミングもとても重要なのです。

しかし借入には審査があります。

一般的に金利の高さと融資スピードは反比例の関係にあります。

金利が低い場合は審査が厳しくなって融資スピードが落ちる。反対に金利が高い場合は審査が緩くなって資金が早く手に入ります。

事業者はまずこの関係を知った上で、どの金融業者を利用すべきか検討しなければなりません。

日本政策金融公庫の融資金利は低金利

日本政策金融公庫(以下日本公庫)は、2008年10月、旧国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫が合併してできた政府系金融機関です。

国内にある多くの中小企業・零細個人事業主等を対象に、貸付業務を通じて金融支援・経営支援を行っています。

また新規開業者向けの創業融資に対応しており、多くの貸出実績があるほか、国の教育ローンも取り扱っています。

日本公庫の事業資金金利は低利だが審査スピードは遅い

日本公庫の融資金利は、基準金利においても、また借入条件によって異なる特別金利においても低金利が特徴です。

また金利は固定金利で、融資を借りたらその返済期間中、借入金利の利率は一定に保たれています。

一方政府系金融機関として、その融資審査はかなり厳格であり、審査書類も複雑で提出種類も多く、審査にかなり時間が掛かります。

通常申込みしてから融資実行まで、1ケ月程度掛かると考えておいた方がいいでしょう。

日本政策金融公庫の適用金利(令和2年3月2日時点、年利%)

以下が日本公庫の全ての事業者に対する融資金利です。

日本公庫の公式サイトで、中小企業者融資に関係する国民生活事業部と中小企業事業部から主要な金利を抜粋して一覧表にしました。

国民生活事業

1.担保を不要とする融資を希望する方

基準金利 特別利率A~U
2.16%~2.35% 0.76%~2.04%

2.新創業融資制度(無担保・無保証人) を希望の方(税務申告を2期終えてない方が該当)

基準金利 特別利率A~J
2.56%~2.75% 1.16%~2.44%

3.担保を提供して融資を受けたい方

基準金利 特別利率A~U
1.21%~2.00% 0.30%~1.69%
中小企業事業
貸付期間 基準利率 特別利率①~③
5年以内 1.11% 0.30%~0.71%
5年超6年以内 1.11% 0.30%~0.71%
6年超7年以内 1.11% 0.30%~0.71%
7年超8年以内 1.11% 0.30%~0.71%
8年超9年以内 1.11% 0.30%~0.71%
9年超10年以内 1.11% 0.30%~0.71%
10年超11年以内 1.11% 0.30%~0.71%
11年超12年以内 1.11% 0.30%~0.71%
12年超13年以内 1.11% 0.30%~0.71%
13年超14年以内 1.12% 0.30%~0.72%
14年超15年以内 1.13% 0.30%~0.73%
15年超16年以内 1.14% 0.30%~0.74%
16年超17年以内 1.15% 0.30%~0.75%
17年超18年以内 1.17% 0.30%~0.77%
18年超19年以内 1.18% 0.30%~0.78%
19年超20年以内 1.19% 0.30%~0.79%

金利は上記のように、日本公庫で借りるとかなり低金利で融資が受けられます。

一方、融資条件のひとつ、保証人ですが、日本公庫ではできるだけ保証人を取らない方針で融資を行っています。

しかし日本公庫でも法人名義で申込みした場合、例外はありますが会社経営者個人の連帯保証人が原則必要です。

ただし、個人事業主個人申込む場合、連帯保証人や第3者保証人は不要となります。

このように日本公庫は無担保無保証人が原則です。

しかし、上記の一覧表でわかるように、事業主が担保提供して融資を受けることで、無担保に比べて金利をさらに低くできるメリットもあります。

融資目的と時間の余裕があるなら日本公庫融資

日本公庫では、経営活性化支援融資として、以下のような多くの応援ローンを目的別にそろえています。

そのため、資金を急がないなら、低金利で資金使途に柔軟に対応できる日本公庫の融資は、資金調達の手段としてぜひ検討しても良いと思います。

普通貸付 一定の融資条件を満たせば、ほとんどの業種で利用できます。
新企業育成貸付 起業者向けにいくつかの創業支援融資があり、女性/若者/シニア起業家向けの事業資金にも対応しています。
企業活力強化貸付 企業の経営強化を目的とした融資制度です。
企業再生貸付 経営的に苦境に陥っている企業の再建を目的とした融資制度です。
セーフティネット貸付 災害被害や急激な経営環境の変化で経営が厳しくなっている先に対して、経営を安定させるための融資として用意されています。

銀行の融資金利は低金利だが事業先の信用度で上下する

銀行の融資金利は、融資先によっては一部固定金利の対応もありますが、基本的に変動金利です。

変動金利は金融情勢を反映するので、低利で借れることもありますが、市場金利が上がれば融資金利も上昇するリスクがあります。

さらに、信用保証協会をはさまずに直接銀行からお金を借り入れる融資*は、各事業者の信用度に応じて全て適用金利も異なります。
そのため同じ金利が適用されるということはありません。
*このことを「プロパー融資」といいます。

また一方では、メガバンク、地方銀行、信用金庫等、グループや規模に応じた事業資金の基準金利相場があります。

総じて基準金利は金融機関の規模が小さくなるにつれて高くなる傾向です。

また、事業者融資は基準金利が下がるにつれて、審査が緩くなる傾向があります。

事業者としてはこのような特徴をよく理解した上で、自分がどの金融機関を利用したらいいか、判断の拠り所とすべきです。

銀行のプロパー融資は低金利だが審査も厳しい

銀行のプロパー融資金利には一律の相場がないため、別の指標で金利を推定するしかありません。

なぜかというと、基準金利を各行とも公表していないからです。
また、事業者の信用度により適用金利はバラバラです。

金利が低い融資先は、銀行としても貸出リスクを避けるため、十分審査に時間を掛けるので、その分融資スピードも遅くなります。

融資スピードは以下を参照してください。

  • 新規融資先:早くて2~3週間
  • 既存取引先(決算内容に問題がある): 2週間程度
  • 既存取引先(決算内容、取引状況ともに良好): 1週間以内

しかしプロパー融資の場合、取引先によって対応がさまざまなので、一般的にはプロパー融資は時間が掛かると思っていたほうがいいいでしょう。

なお事業者が借入で担保を出せば、プロパー融資でも日本公庫と同じく、以下のメリットがあります。

  • 金利が下げられる
  • 大きな金額を借りられる
  • 返済期間を長くできる

銀行融資の取引はまず信用保証協会付融資から

信用保証協会付き融資とは、信用保証協会が事業者の連帯保証人となることで、中小企業や個人事業主が融資を借りやすくする融資保証制度のことです。

保証協会へは以下の2つの申込み方法があります。

  • 事業者が直接保証協会に出向いて申込みする方法
  • 取引のある金融機関の融資担当者経由で保証協会に申込みする方法

上記2つを比べると、金融機関経由の申込みが多いです。

保証協会利用にあたっては、事業者は以下の決められた要件を満たす必要がありますが、中小企業者であればほとんどの業種で利用できます。

  • 資本金
  • 従業員数
  • 業種
  • 地域
  • 業歴

また保証協会付き融資のうち、多くの事業者が利用している小口資金等は、固定・低金利であり、もし借りることができればとても重宝します。

一方、保証協会の融資スピードは、融資審査が銀行審査に加えて、保証協会による保証審査も加わるのでプロパー融資よりさらに時間が掛かります。

そのため資金を急ぐ事業者には不向きな融資と言えるでしょう。

ただし信用保証協会付き融資は、保証協会が公的保証人になってくれるので、銀行との融資取引開始の手段として、利用する価値は高いと考えています。

その理由は銀行としても融資がしやすく、プロパー融資がまだ難しい事業者でも、審査通過の可能性が高いからです。

ただし、信用保証付き融資は固定・低金利ですが、別途保証協会に支払う保証料が掛かります。

そのためケースによっては、金利・保証料込みの費用が高くなる場合も出てきます。

以下ではその保証料について、信用保証協会の公式サイトから抜粋して、料率を一覧にしたのでご覧下さい。

信用保証協会の保証料率

基本信用保証料率表(年率、%)

区分 1 2 3 4 5 6 7 8 9
責任共有保証料率 1.90 1.75 1.55 1.35 1.15 1.00 0.80 0.60 0.45
責任共有外保証料率 2.20 2.00 1.80 1.60 1.35 1.10 0.90 0.70 0.50

※責任共有制度とは、信用保証協会と金融機関が連携し、事業者への融資に対し、適切な責任共有を図りつつ金融支援を図る制度、現在はその責任割合は保証協会80%、金融機関20%となっています。
また保証制度の中には、責任共有外の保証制度もあり、その場合は一覧表下段の保証料率が使われています
※要件として、貸借対照表を信用保証協会に提出できない事業者は、基本的に区分5の年1.15%が適用され、また損益計算書のみ出せる個人事業主もこの対応です。

銀行融資より金利はやや割高だが審査が緩いのが信用金庫

全国各地にある信用金庫でも、プロパー融資、保証協会付き融資ともに利用できます。

この場合、保証協会付き融資は銀行で借りても、信用金庫で借りても基本的に金利は同じです。

しかし、プロパー融資に関しては、やはり規模からして一般的に、信用金庫の融資金利が銀行の融資金利より割高です。

しかし審査に関しては、信用金庫の方がやや緩く、融資に対する対応も弾力的なので、事業者が資金を急ぐ場合は、利用するのは銀行より信用金庫のほうがベターだと考えています。

固定の低金利なら地方自治体のあっせん融資もおすすめ

事業者が低金利の融資を利用したい場合、その方法のひとつに、地方自治体が設けている制度融資という仕組みがあります。

この制度融資では、地方自治体が融資のあっせん機関となり、金融機関・信用保証協会と連携して中小企業者に融資を行っています。

制度融資では、信用保証協会が事業者の融資保証人となって金融機関で借りやすくなっています。

その理由は、地方自治体が税金で集めたお金を預託融資制度として積み立て、その一部を金融機関に預けることで、事業者への融資の原資にしているからです。

このような仕組みに基づき、事業者は融資を低金利で借りられるので、大きなメリットがあります。

ただし制度融資のデメリットは審査スピードが遅いことで、申込みから実行まで2ケ月以上かかることもざらです。

それは融資の当事者が地方自治体も加えて4者もいることから、個々の機関での審査に時間が掛かるからです。

それだけにこの融資制度を利用するのは、事業資金に余裕があり、なおかつ資金を借りるのを急がない事業者向けと言えるでしょう。

銀行のプロパー融資を使うケース

それでは事業者が銀行のプロパー融資を使う場合、どのようなケースがいいでしょうか?

ズバリ、資金の目的と利用時期が決まっているような時に、プロパー融資は利用すべきと筆者は考えています。

たとえば、工場建替え、大型設備の更新などの設備資金などは、投資目的もハッキリしているし投資効果も見込めるので、プロパー融資が適しています。

またプロパー融資であれば、設備目的に合わせて、申込み金額、金利、融資期間等の貸付条件も銀行との交渉で弾力的に決められるのでとても便利です。

ただし設備資金の場合、申込み金額や返済期間によっては担保が必要になります。

もし融資対象の新工場を担保に入れるなら、建築物だけでなくその敷地もあわせて、抵当権が設定されることも覚えておく必要があります。

一方、信用保証協会付き融資は、固定・低金利で一定期間、長期の借入が利用できるので、長期運転資金などの利用に適しています。

ノンバンク・ビジネスローンは金利が高いが審査スピードは早い

事業資金はノンバンク系のビジネスローンでも借りることができます。

ノンバンクのビジネスローンは、銀行融資や公的融資に比べて金利は割高ですが、資金を急ぐ先にはとても便利な融資です。
ノンバンクは審査スピードが早く、早い先で審査に1日、遅くても申込みから3~4日程度で借りられるからです。

以下に融資実績の多いノンバンクから、取扱いしているビジネスローンについて、その金利と融資額をまとめてみました。

ビジネスローンの金利と最大融資額一覧

ビジネスローン会社 金利(実質年率) 最大融資額 融資対象
アイフルビジネスファイナンス ・8.0%~15.0%(利用限度額100万円以上)
・13.0%~18.0%以上(利用限度額100万円未満)
1,000万円
※カードローン型は新規取引時上限500万円
※ビジネスローン型は制限なし
法人・個人事業主
※ビジネスローン・カードローンタイプの2タイプ
ビジネスパートナー・スモールビジネスローン 9.98%~18.0% 500万円 法人・個人事業主(ともに業歴2年以上必須要件)
オリックスVIPローンカードBUSINESS 6.0%~17.8%
※100万円コース以上は14.9%以下の金利を適用
500万円 法人経営者・個人事業主(個人事業主は業歴1年以上)

上記ビジネスローン以外に、消費者金融の取り扱うビジネスローンなら、SMBCコンシューマーファイナンス・プロミスの「自営者カードローン」がおすすめです。

商品スペックは以下のとおりです。

  • 借入利率:年3%~17.8%
  • 融資額:最大300万円まで
  • 対象者:満20歳以上、65歳以下の自営者

ビジネスローンを使うタイミングと効果的利用方法

事業者は事業継続のために、たとえ金利が高くても、まずは資金調達を優先することも大切です。

経営戦略として当面の資金繰りさえできていればすぐには倒産しません。

資金に余裕さえあれば、その間に対策を打って経営を立て直すことはできます。

その点、ビジネスローンは、資金を急ぐ法人・個人事業者にはうってつけの融資です。

融資審査にあたり、決算書類も1期~2期準備すればよく、銀行融資のように決算書を3期も必要としないので資金調達が早くなります。

ただしビジネスローンは小口融資・短期利用が基本です。

ビジネスローンは公的資金や金融機関と比べて金利が割高なので、長期の借入には不向きです。

ビジネスローンはあくまで事業者が資金を急ぐ場合や、短期で決済可能な仕入れ資金やつなぎ資金中心に使いましょう。

金利1.0%の差で違う利息額

それでは最後に、融資金利が1.0%違うとどれ位、利息の支払額が違ってくるか、実際に総返済額についてシミュレーションを使って計算してみましょう。

融資金利を判断する時の参考にして下さい。

前提条件
借入元金:100万円
返済方法:元金均等返済
1年間の返済回数:12回
返済期間:5年
元金の据え置き期間:なし

以下がその計算結果です。

融資金利(年率) 5年間の総返済額(円) 1.00%との差額(円)
1.0% 1,025,417
2.0% 1,050,834 25,417
3.0% 1,076,250 50,833
4.0% 1,101,667 76,250
5.0% 1,127,083 101,666

まとめ

事業資金を借りる時の金利相場を、金融機関ごとに、また審査スピードと絡めて詳しく解説してきました。

もちろん事業者に限らず、全ての人が融資を受ける時にできるだけ低金利で借れることが理想です。

しかし金利の相場は審査の厳しさの裏返しでもあるので、全てが事業者の思い通りになるとは限りません。

事業者に融資に関して担保や連帯保証人があれば、できるだけ利用して金利を下げる努力は必要です。

また事前に情報を集めて、金利の低い制度融資があれば、それも利用する努力もすべきとは思います。

しかし肝心なことは、何度も繰り返しますが、事業では資金繰りを重視して、まずはしっかりと資金を確保することです。

全てはそこから始まります。

そのためには、あくまで融資は、金利だけの低さにこだわらず、金利の相場と審査スピードのバランスを取りながら、最後は最も自分に適した融資方法を選ぶようにしてください。

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