リボ払いとはなにか?その仕組みと各社カードローンの対応
銀行・消費者金融カードローンの利用者やクレジットカード会社のカード会員でショッピングやキャッシングを利用している人にとってリボ払いという名前はよく聞き慣れた言葉だと思います。
リボ払いとは正式名をリボルビング払いと言います。
ですが改めてリボルビング払いとは何かと聞かれると正確に答えられる人は多くはありません。
ほとんどの利用者が「毎月一定額返済したらいいので便利」程度の大雑把なイメージだけで捉えているレベルだと思います。
しかしリボ払いはローンカードやクレジットカード利用においては重要な支払方式のひとつとなっており、カード利用者としてはやはりシッカリとその仕組みを理解しておく必要があると考えます。
そこでこの記事では改めてリボルビング払いの仕組みとその金融機関ごとの採用状況について詳細をチェックしていきたいと思います。
リボルビング払いとは?
まずリボルビング払いを定義します。
リボルビング払い、通称リボ払いは「銀行・消費者金融等のカードローンの利用限度額、またはクレジットカードのショッピング・キャッシング枠を繰り返し利用しながら、毎月の返済を一定額に抑えつつ長期間掛けて支払いできる返済方式のこと」で、その利用額に合わせて返済額と返済回数が決まるような仕組みになっています。
また利用額が増えれば増えるほどそれに合わせて完済までの期間が長くなり、支払い回数が変動します。
一方リボルビング払い以外の支払方法としては、例えばクレジット会社のクレジットカードを利用した場合、支払いコース毎、一括払いや2回払い、あるいは3回以上に分けて支払う分割払いなどがあります。
通常一括払い、2回払いまでについては金利無料(手数料率ゼロ)ですが、3回以上の分割払いになると実質年率15%程度の金利手数料が発生するようになります。
分割払いとリボルビング払いは支払いを分割して支払うため、同じようなものとして混同している人がいますが両者は明確に異なります。
分割払いは1個の商品毎の支払いに適用されますが、リボ払いはカードの利用金額全額に対して適用されます。
また分割払いは指定された分割支払い回数が終了すれば完済できますが、リボ払いはカードの利用代金をすべて支払い終えることで完済できることになります。
この違いをしっかりと押さえて下さい。
またクレジットカードでは決済において、当初一括払いで指定していても締切日までに支払コース変更手続きを終えれば分割払いやリボ払いに変更することもできます。
一括の返済を月々の返済に替えることで支払金額の負担が減りますので利用者の懐には優しくなります。変更方法についての情報は各社のサイトをチェックして下さい。
ただし一部のクレジット専用カードにはリボ払い専用クレジットカードがあり、利用者がそれを知らなくて店舗で一括払いと決済を依頼していても、実はカード会社では自動的にリボ払いになっていたというケースもあるので注意が必要です。
元利均等返済と元金均等返済の違い
それではここでリボ払いについてより深く入っていく前にいくつかの基本的な支払い方式を理解しておきたいと思います。
これらの組み合わせでリボ払いはさらにその支払い方式の種類を増やしていくことになります。
元利均等返済
まずは元利均等返済についてです。これは毎月の返済額を金利込みで計算する方式で、「元金+利息」の合計返済額が常に一定額の返済方法を指します。
具体的には借入日から返済期日までの金利込みの総支払額を支払い総月数で割って毎月の返済額を計算します。
この支払方法では当初の一定期間、毎月の返済で常に元金より金利分が優先的に支払われることから、長期間返済を続けてもなかなか元金返済が進まない特徴があります。
元金均等返済
一方元金均等返済は文字通り、元金総額を総支払月数で割って均等割にして返済するもので、毎月の合計返済額は「定額の月割元金+利息」となります。
この支払い方法では元利均等返済に比べて元金の返済は早く進むものの、一方では当初の毎月返済額が元利均等返済の返済額に比べても大きいため返済する者によっては負担になる特徴があります。
定額方式返済と定率方式返済の違い
次に定額方式による返済と定率方式による返済という分類も見ておきます。
定額方式返済
定額方式というのは簡単に言うと、毎月の返済額を自分で指定・特定すると言うことです。
例えば月に5千円、あるいは2万円定額で返済すると決めることです。
定率方式返済
定率方式による返済とは、毎月の返済額を返済元金の○%と割合で決める方式を言います。
例えば当初の元金が20万円で10%ずつ返済していくと決めると
2回目 18万円(※20万円−2万円)×10%=1万8千円
3回目 16万2千円(※18万円−1万8千円)×10%=1万6千2百円
という形で返済最終日まで毎月返済を続けていきます。
返済期間中、返済によりどんどん元金は値が小さくなっていきますが、最後は利率を掛けられないほどの残高になりますので一括返済での調整が必要になります。
残高スライド方式とは?
最近のリボ払いでは残高スライド方式という方法も導入されています。
これは借入残高にスライドしながら毎月の返済額を決める方式のことです。
具体的には借入残高が○万円~○万円までは毎月△円、◎万円~◎万円までは毎月▲円と返済額を決めて一覧表にして表示しています。
リボルビング支払いの8つの組み合わせ
これまで、元利、元金、定額、定率、という返済方法と残高スライド方式というものを個別に説明してきましたが、これらの上記4タイプの返済方式と残高スライド方式を組み合わせると実に8組のリボルビング支払い方式ができあがることになります。
具体的には以下の8つのパターンです。
・元金定額リボルビング方式
・元利定率リボルビング方式
・元金定率リボルビング方式
・残高スライド元利定額リボルビング方式
・残高スライド元金定額リボルビング方式
・残高スライド元利定率リボルビング方式
・残高スライド元金定率リボルビング方式
それぞれの方式には個々の支払いの特徴があります。
しかし全ての支払いの特徴を仮に理解したとしてもカードローンやクレジットカードの利用者にはあまり意味がありません。
なぜならほとんどの金融機関がこれらの中の数種類の返済方式に集約させているからです。
むしろ個々の金融機関に採用されている返済方法について詳しくかつ重点的に理解したほうがカードローン利用者には有益でうまく利用できるようになると筆者は考えます。
そこでまず銀行や消費者金融で発行されているカードローンでこの8種類の中からどのような支払方式が採用されているか、代表的な銀行や消費者金融から一覧表にまとめてみましたのでご覧になって下さい。
カードローン金融機関別・返済方式
金融機関/サービス名 | 返済方式 |
---|---|
アコム | 定率リボルビング方式 |
SMBCコンシューマーファイナンス/プロミス | 残高スライド元利定額返済方式(最少返済額・ミニマムペイメント設定) |
SMBCモビット | 借入後残高スライド元利定額返済方式 |
三菱UFJ銀行/バンクイック | 残高スライド元利定額返済方式(最少返済額・ミニマムペイメント設定) |
みずほ銀行カードローン | 残高スライド元利定額返済方式 |
レイクALSA(アルサ) | ・残高スライドリボルビング方式(最少返済額・ミニマムペイメント設定) ・元利定額リボルビング方式 ※ふたつの返済方式より選択制 |
住信SBIネット銀行/MRカードローン | 残高スライド元利定額返済方式 |
楽天銀行スーパーローン | 残高スライド元利定額返済方式 |
オリックス銀行カードローン | 残高スライド元利定額返済方式 |
リボ払いは主に3種類
上記一覧表から主に採用されているリボ払いの方式は、残高スライド元利定額リボルビング方式、残高スライド元利定率リボルビング方式、そして元利定額リボルビング方式の3つであることが分かります。
そのうち銀行カードローン・消費者金融カードローンの中で最も採用率が高い支払い方式が「残高スライド元利定額リボルビング方式」です。
「残高スライド元利定額リボルビング方式」の特徴は
②毎月の返済額は借入残高に沿って変動すること
③返済額が定額なので管理がし易いこと
などです。
一方、一覧表の中で支払い方式に「残高スライド元利定率リボルビング方式」を採用しているのはアコムだけです。(アコムはただ定率リボルビング方式と表記していますが、実質は残高スライド元利定率リボルビング方式です)
「残高スライド元利定率リボルビング方式」の特徴は
②元利なので返済額に必ず金利が含まれること
③残高スライド制なので、借入残高によって割合が段階的に変化していくこと
などです。
例えば借入残高が○万円~○万円までは借入残高の10.0%、◎万円~◎万円までは借入残高の8.0%で計算して毎月返済額を決めて返済していくという感じです。
またレイクALSA(アルサ)は支払い方法を二つの方法から選択できますが、ひとつは既に説明済みの残高スライド元利定額リボルビング方式です。
そして別の選択肢、元利定額リボルビング方式は「毎月の返済代金を元利金込みで一定額にして返済する」という単純な方式なので残高スライド制が付いていない分、理解し易いと思います。
それぞれの支払い方式の特徴を理解した上で、それではいよいよそれらの方式を採用している金融機関が具体的にどんな支払い方法を取っているかより詳しくチェックしてみたいと思います。
今回取り上げる金融機関はSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)、三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)、そしてアコムです。
残高スライド定額リボルビング返済方式の活用事例
残高スライド定額返済方式を採用している金融機関としてSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)と三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)に注目してみたいと思います。
SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)
こちらがSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)の借入残高に応じた返済額の計算式となります。
借入残高 | 毎月返済額 | 返済回数 |
---|---|---|
30万円以下 | 借入残高×3.61%(1,000円未満切り上げ) | ~36回 |
30万円超過~100万円以下 | 借入残高×2.53%(1,000円未満切り上げ) | ~60回 |
100万円超過 | 借入残高×1.99%(1,000円未満切り上げ) | ~80回 |
計算例
5万円(借入残高)×3.61%=1,805円(返済額) →2,000円(1,000円未満を切り上げた額)
つまり、借入額5万円の場合は、毎月2,000円以上を返済すればよく(これを最少返済額またはミニマムペイメントと言います)
それ以上なら顧客の都合に合わせていくらでもかつ月毎でも変更して返済可能です。
ミニマムペイメントについて
ミニマムペイメントは最少返済額とも呼ばれています。このミニマムペイメントは通常のリボ払いとはややニュアンスの異なる支払い方法ですが、要するに借入利用残高にスライドして最低限の毎月返済額が決められていて、顧客は毎月この額を支払えばいいわけです。
たしかに一見楽に見える返済方法ですが、一方では一般的なリボ払いより少なく支払うので返済期間も伸びてしまいます。
その結果総支払額が増えて金利負担も重くなります。
もし支払いに余力ある人はミニマムペイメント以上の毎月支払額を設定してもいいので、自分のお財布状態とよく相談しながら決めていけばいいと思います。
三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)
これが三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)バンクイックの返済額を決める一覧表です。
●借入利率年8.1%以下のお客様の最少返済額
●借入利率年8.1%超のお客様の最少返済額
三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)の場合は既に借入残高と金利区分ごとの組み合わせで最少返済額(ミニマムペイメント)が決められています。
元利定額返済なので毎月返済額に金利が含まれて計算されています。
もちろん各回の返済は最少返済額以上の金額であればいくらでも可能となっていますのでプロミス同様、支払い余力のある人は積極的に返済額を上げていくほうがいいと思います。
残高スライド定率リボルビング返済方式の活用事例
残高スライド定率返済方式を採用している金融機関としてアコムに注目してみます。
アコム
カードローン契約極度額 | 返済金額(※千円単位) | 返済回数 |
---|---|---|
1万円~30万円 | 借入金額の4.2%以上 | 1回~31回 |
30万円超~100万円未満 | 借入金額の3.0%以上 | 1回~51回 |
100万円~800万円 | ・借入金額の3.0%以上 ・借入金額の2.5%以上 ・借入金額の2.0%以上 |
・1回~51回 ・1回~60回 ・1回~80回 |
計算例
アコムの場合、各回の返済額は借入残高に一定の割合を掛けて計算します。(残高スライド定率方式)
千円未満があれば切り上げて千円単位とします。顧客の都合に合わせて最少返済額以上の返済も自由に選択可能です。
例えば、一定割合4.2%、実質年率18.0%で10万円借入の場合は、10万円×4.2%=4,200円→千円単位まで切り上げのため、毎回返済額は5,000円以上となります。
定率返済では元金は減っていくものの率で計算しているためなかなか元金が減らないデメリットがあります。
また定額返済に比べて金利を多く支払う傾向があるので、カードローンはあくまで借金という視点から支払総額を少なくするためできるだけ繰上返済で早めに元金を減らす努力をした方がいいと思います。
アコム・ACマスターカードと返済方式
アコムのカードローンの返済方式について説明したので、関連でアコムのクレジットカード・ACマスターカードの返済方式にも触れておきます。
ACマスターカードはカードローン付とショッピング専用から選べる便利なクレジットカードですが、支払い方法については注意が必要です。
利用例を説明します。著者がアコムの担当者から詳細を確認しました。
利用日が前月21日~当月20日までのカード利用分を翌月6日までに「ATM等からの返済」で決済すれば手数料は掛かりません。(通常の1回払いと同じです)
翌月6日を過ぎて7日以降も引き続き利用残高があれば、支払い方法がアコムのリボルビング支払い方式に変更され金利と手数料が掛かるようになります。
したがってショッピングした店舗の窓口で利用者本人が1回払いと申告して安心していても、ACマスターカードの場合は、利用残高が決済されずに一定日を過ぎると自動時にリボ払いに変更される仕組みになっているので、決済方法をよく理解したうえで利用されるようおすすめします。
一方、ACマスターカードはリボ払いですが、いつでも繰上返済が可能なクレジットカードです。
ネットバンキングやアコムATMなどから返済ができますので適宜繰上返済を利用して金利の軽減を図ってください。
またACマスターカードは年会費無料ですが、残念なことにカードの利用毎に付くポイントなどの特典はありません。
しかし日本クレジットカード協会に加盟しているカード会社発行のクレジットカードには永久不滅ポイントが貯まるカードがたくさんあります。
クレジットカード利用額1,000円でポイントが1~2ポイント貯まり有効期限は無期限、そのポイントを使って日本クレジット協会傘下の加盟店でのショッピングに利用したり各種アイテム・商品券と交換することもできます。
このように同じクレジットカードでも色々な特色があるので、機能に合わせて使い分けてみるのもいいのではないでしょうか。
ポイントの支払要件については各業者サイトにログインして案内をよく熟読してみて下さい。
リボ払いと著者のおすすめ活用法
これまで説明してきたように、リボ払いは利用可能な限度額内で繰り返し使用しつつ、毎月返済では定額コースを利用したりミニマムペイメントも選べるので、一括払いや分割払いに比べても弾力性に富む返済方法だと考えます。
ただ便利な方法にはメリットと同時にデメリットもあることも意識して使わねばなりません。
リボ払いのデメリットは一番に「返済期間が決まっていない」ということです。
リボ払いのシステムを利用して利用枠を繰り返し使っていても、毎月の返済額は定額の金融機関が多いので、利用者は返済を意識せず利用枠を必要以上に使いがちになります。
その結果、どんどん返済期間が先に延びていつの間にかかなりの金利を金融機関に払っていることになります。
そこで利用者はリボ払いのデメリットを意識しつつ、できるだけ支払金利を少なくする方法も駆使してカードローンやクレジットカードを利用する必要があります。
著者のおすすめとしては、クレジットカード・キャッシングの適用金利に比べて比較的割安な金利の銀行カードローンを利用するとか、大手消費者金融や一部の銀行で採用されている無利息サービスの活用、あるいは元金の繰上返済による支払金利の軽減などを組み合わせて使うのもいい方法だと思います。
もちろんクレジットカードで年会費無料は言うに及ばず、高還元率の会社のカードを選択して使用するのも良い方法です。
現在ある各種サービスをうまく組み合わせて活用することでリボ払いの短所をカバーできるものと著者は考えています。
ぜひ実践してみて下さい。