利息制限法の改正内容と出資法との違い

更新日:2020/02/18
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利息制限法と出資法の違い

かつて、貸金業者は国の法律を巧みにかいくぐり、高金利貸付を当たり前のように行っていました。
その時代には、高金利貸付によって莫大に膨れ上がった返済額を支払えずに、次々と自己破綻に追い込まれる債務者が後を絶ちませんでした。

この事態を脱却すべく、国は2010年6月に「利息制限法」と「出資法」の改正を行いました。
それまでの利息制限法と出資法にあった欠陥を修正し、貸金業者が法を悪用できないようにしたのです。
この法改正により、私たち消費者は貸金業者から安全にお金を借りられるようになりました。

利息制限法と出資法は、個人、法人、事業者、非事業者を問わず、法外な金利からすべての債務者を守ってくれる大切な法律です。

改正前の利息制限法の内容

「利息制限法」と「出資法」は、カードローン、クレジットカード、住宅ローンなど、さまざまなローンの金利を制限する法律で、昭和29年(1954年)に制定されました。

しかし、制定された当初の利息制限法と出資法は、債務者を守るためには内容が不十分であったため、様々なトラブルを生み出していました。

改正前の利息制限法の内容は、主に以下の4項目に分けられます。

改正前の利息制限法の内容

  • 利息の制限
  • 利息の天引き
  • 賠償額の予定の制限
  • みなし利息
(1)利息の制限

クレジットやカードローンなど、金融機関からお金を借りると、必ず利息が発生します。
この利息の利率は、金融機関によって、また、商品によって、それぞれ異なる値が設定されています。

このように、銀行や消費者金融などの金融機関によって金利は異なりますし、同じ銀行というくくりの中でも商品によって金利は異なります。
クレジットカードでも住宅ローンであっても、商品の金利は金融機関が自由に設定できるのです。

しかし、完全に自由にしてしまうと貸金業の世界は高金利がはびこる無法地帯と化してしまいます。
そこで重要な役割を果たすのが、この「利息の制限」という規則です。

利息制限法による上限金利の制限
借入額 上限金利
10万円未満 年率20%
10万円~
100万円未満
年率18%
100万円以上 年率15%

このように、利息制限法では金利の上限が定められているのです。
金融機関は、この利息制限法で定めれた上限金利以下の割合で金利を設定しなければなりません。

ただし、借主(債務者)の合意のもとであれば、利息制限法の上限金利を超える利息を徴収することは可能です。

これが、改正前の「利息の制限」の内容です。

(2)利息の天引き

多くの、利息の支払いは元金の支払いと併せて行われます。

しかし、貸主があらかじめ借入額から利息分を差し引いた額を借主に貸し出し、返済日に元本額※だけ徴収するという方法があります。
※元本・・・利息を含まない純粋な借金のこと

この利息の回収方法のことを、「利息の天引き」と言います。

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このように、貸主が天引きで利息を受取る場合に、その利息が先ほどご説明した「利息の制限」を超えていたとしたら、超過分の利息は元本の返済に充てられます

例えば、10万円を上限金利ぎりぎりの年率20.0%で30日間借りた場合、利息は1,500円になります。

しかし、利息の天引きの際に、本来よりも1,000円多い、2,500円を利息として引かれていたとしましょう。
その場合、差額の1,000円は超過分と扱われるので、30日後に返済するのは9万9,000円で良いのです。

このような決まりが、改正前の「利息の天引き」の内容です。

(3)賠償額の予定の制限

賠償額とは、いわゆる「遅延損害金」のことを指します。
借主が、約束の返済期日までに返済を怠った場合には、遅延損害金で定められた利率の利息を支払わなければなりません。

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例えば、レイクALSA(アルサ)の通常の金利は、年率4.5%~18.0%です。

しかし、返済を滞納した場合には、年率20.0%という、通常よりも高い金利で利息を支払わなければならないのです。

この遅延損害金の利率は、各商品の通常の利率の1.46倍以下の範囲で金融機関が自由に設定できるようになっています。

レイクALSAの場合、通常金利の上限が年率18.0%ですから、遅延損害金には最高で年率26.28%が設定できることになります。
これが改正前の賠償額の予定の制限」の内容です。

(5)みなし利息

ローンを組む際に発生する保証料、手数料、礼金、割引金、調査料などは、原則、利息とみなさなければなりません。

このような諸経費も利息とみなさなければならない理由は、「通常の利息とは別途、保証料を10万円いただきます」などという悪徳行為を貸主にさせないためです。

この利息とみなされた諸経費のことを、「みなし利息」と言います。

ただし、例外的にみなし利息とされずに借主に別途請求しても良い諸経費があります

借主に別途請求できる諸経費

  • 公租公課の支払いに充てられるもの
  • 公の機関への手続きにかかる費用
  • ATMなどの機械の手数料
  • 債権者の要請により行う業務にかかる費用

ATMなどの機械手数料は、もっとも身近な「諸経費」ですね。

「公租公課の支払いに充てられるもの」というと言葉は難しいですが、公租公課というのは要するに国や地方などの公共団体に納める負担のことを指します。
私たち国民に身近な公租公課といえば、代表的なものは税金ですが、お金の貸し借りの際に発生する公租公課といえば、印紙代などが代表的です。

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「公の機関への手続きにかかる費用」というのは、強制執行の費用や、担保権の実行のための競売にかかる費用などです。

例えば、住宅ローンの場合ですと、借主が頑なに返済をしない場合には、金融機関が借主に対して立ち退きを強制することがあります。
この立ち退きにかかる費用が、強制執行の費用です。

そして、立ち退かれた後の家は競売にかけられ、他の人の手に渡ります。
この競売の費用が、担保権実行のための競売にかかる費用にあたります。

「債権者の要請により行う業務にかかる費用」というのは、カードの再発行手数料などです。
借金の返済に利用するカードを借主が失くしてしまった場合には、金融機関に再発行してもらう必要があります。
カードを失くしたのは借主の自己責任なので、再発行にかかるお金は借主負担になります。

このように、みなし利息には法律で例外が設けられているのです。
これが、改正前の「みなし利息」の内容です。

改正前の出資法の内容

次に、改正前の出資法について、ご説明いたします。

利息制限法においても「利息の制限」が定められていましたが、出資法でも利息の制限が定められています。

しかし、改正前の出資法の場合、その内容は「個人間の貸付」の場合と「業者との貸付」の場合とで異なりました。

改正前の出資法で決められた上限金利
個人間の貸付 年率109.5%
業者との貸付 年率29.2%

改正前の出資法では、個人と個人の間で行うお金の貸し借りの場合、上限金利は年率109.5%と定められていました。

それに対して、業者と個人、ないし業者と法人の間で行うお金の貸し借りの場合、上限金利は年率29.2%と定められていました。
これが、改正前の「出資法」の内容です。

ここで利息制限法における「利息の制限」を思い返してください。

利息制限法による上限金利の制限
借入額 上限金利
10万円未満 年率20%
10万円~100万円未満 年率18%
100万円以上 年率15%

利息制限法では、借入額が10万円未満と低い場合でも、年率20%までしか設定できないとされています。

それにも関わらず、出資法では、個人間の貸付の場合は上限金利が年率109.5%まで、業者との貸付の場合には上限金利が年率29.2%まで許されています。

改正前の利息制限法と出資法では、上限金利に明らかなズレがあるのがお分かりだと思います。
このズレが原因となって、利息制限法と出資法の改正前には様々なトラブルが起こりました。

法改正前のトラブル

「過払い金請求は○○法律事務所で!」といったCMに聞き馴染みのある方も多いと思います。

過払い金というのは、「本来であれば払う必要がないのに、借主が貸主に払いすぎてしまった利息」のことをいいます。

まさしくこの過払い金の原因が、改正前の利息制限法と出資法の矛盾にあります。

利息制限法は民法ですので、決まりを破ったとしても警察は動けません。
一方で、出資法は刑法ですので、決まりを破ると警察に逮捕されてしまいます。

金融機関としては、破ったところで逮捕されない利息制限法など痛くも痒くもありません。
つまり、利息制限法で利息が制限されているのにも関わらず、ほとんどの金融機関がその制限を守っていなかったのです。

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利息制限法に定められた上限金利と、出資法に定められた上限金利の間にある金利の差のことを一般には「グレーゾーン金利」と呼んでいます。
かつて、金融機関の多くは、利息制限法で制限されているはずの上限金利を超えて、このグレーゾーン金利で貸付を行っていました。

民法である利息制限法を破り、違法な高金利貸付をされた借主たちは、裁判所に被害を訴えるしかありません。

とはいえ、裁判には多額のお金が必要ですし、敗訴のリスクも伴います。
お金がなくて借金をしている人たちには、裁判所に訴えることは苦渋の選択になります。

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借主が裁判所に訴え、最高裁が「グレーゾーン金利は認めない」という判決を下したのは、2006年になってやっとのことでした。

この判決を皮切りに、過払い金返還請求のブームが始まりました。
一時を境に、突然「過払い金請求は○○法律事務所で」というCMが盛んに流れ出したのも、このブームによるものだったのです。

グレーゾーン金利を認めないという最高裁の判決により、国は利息制限法と出資法の矛盾をなくすための法改正にとりかかりました。

法改正による上限金利の引き下げ

2010年6月の出資法改正により、出資法の定める上限金利は年率29.2%から年率20.0%に引き下げられました。

改正前は「個人間の貸付」と「業者との貸付」と別々に設けられていた上限金利ですが、法改正により一本化され、どちらの場合も上限金利は年率20%になりました。

ですので、法改正された現在において、上限金利に年率20%以上を設定することは、民事的にも刑事的にも違法とされます。

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利息制限法の上限金利15%~19.9%との間に生じるグレーゾーンは行政処分の対象となりました。

借入額10万円~100万円未満の時に上限金利18%以上を要求された場合には、その超過した分の利息は無効となります。

借入額100万円以上の時に上限金利15%以上を求められた場合も同じく、その利息は無効となります。

2010年6月には、出資法と併せて利息制限法も改正されました。

改正前の利息制限法では、「債務者が任意で支払った超過分の利息に関しては、返還の要求ができない」との記載がありましたが、この条文は撤回されました。

ですので、仮に借主の任意であっても、違法な利息を支払ってしまった場合には、その超過分は返還請求ができます
この利息超過分の返還請求が、いわゆる「過払い金請求」です。

借主が借金の返済中の場合には、利息の超過分は返還されるのではなく、元本の返済に充てられます。

遅延損害金の上限金利も年20%

利息制限法の改正により、遅延損害金の上限金利も変更しました。

改正前の遅延損害金の上限金利は、その商品の通常金利の1.46倍までとされていましたが、法改正後は、貸金の形態により遅延損害金の上限金利が変化するようになりました。

遅延損害金の上限金利
貸金の形態 上限金利
営業的ではない金銭消費貸借 通常金利の1.46倍
営業的金銭消費貸借 年率20%

「営業的金銭消費貸借」とは、要するに銀行・貸金業者などのように営利目的で継続的に行っている貸金のことをいいます。
業務として継続的に行われる貸金業の場合、遅延損害金の上限金利は年率20%までに制限されます。
この制限により、現在のカードローンの遅延損害金は、ほとんどが年率20%と設定されています

一方で、友人間でのお金の貸し借りのように、儲け目的の業務として行われないお金の貸し借りの場合は、遅延損害金の上限金利は通常金利の1.46倍です。
業務として行われないお金の貸し借りの場合、法改正前と違いはないということになります。

利息制限法と出資法の役割の違い

利息制限法と出資法のもっともわかりやすい違いは、民法なのか、刑法なのか、という違いです。

利息制限法が属している民法とは、そもそも「人が私生活を快適に営むための決まりごと」として作られました。
それに対して出資法が属している刑法は、「国民が安全に生活できるための治安を守る決まりごと」として作られました。

利息制限法と出資法では、そもそも存在の目的が違うのです。

お金の貸し借りは、業者と個人、業者と法人の間でのみ交わされるものではありません。
お金の貸し借りは、家族間、恋人間、友人間など、様々な人たちの間で交わされます。

利息制限法は、悪徳業者を取り締まるだけが目的ではなく、人間関係を円滑に進めるための決まりとして存在しているとも言えるのです。

利息制限法は、当事者のどちらか一方が裁判に訴えなければ、行政の手を借りずとも双方の和解で解決できる可能性を残しています。

それに対して出資法は、違反が発覚すれば警察に捕まり、罰を受けなければなりません。

違反者が個人の場合は5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金を求められ、違反者が法人の場合には、5年以下の懲役、もしくは3,000万円以下の罰金を求められます。

出資法は治安維持のために存在しているのです。

まとめ

利息制限法と出資法について、おわかりいただけたでしょうか。
不利な立場に追い込まれないよう、ローン利用の予定がある方には、金融機関との契約前にはあらかじめ利息制限法と出資法について知っていただければと思います。

すでにローンを利用されている方、また過去に利用されていた方で、「もしかして、自分の利用している(していた)金融機関は違法かもしれない」と思われた場合には、専門の機関へ相談されることをおすすめします。
日本貸金業協会や金融庁の相談窓口を利用すれば、無料で相談することができます。

金融庁はご存知の通り、国の機関ですし、日本貸金業協会も、内閣総理大臣の許可を得て設立された協会です。
相談には、電話やファックス、郵便なども利用できますので、不明点などあれば気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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