債務整理とは?メリット・デメリットから費用のおさえ方まで解説

更新日:2020/01/17
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悩む万年係長のイメージ

債務整理とは、借金のある生活から抜け出すための手続きの総称です。

「返済を滞納してしまっている」
「返済しても残高が減った気がしない」
「借金返済のために借金をしている」
このような状況を打破するためには、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、法的な手段を用いて債務整理を行いましょう。

この記事では、債務整理の種類からメリットデメリットまで解説しています。

「債務整理を依頼したいけれども費用が心配…」という人のために、費用をおさえる方法についても紹介していますので、借金にお悩みの人はぜひ役立ててください。

まずは、債務整理の基本となる任意整理から見ていきましょう。

債務整理の基本=任意整理とは

債務整理をするには、債務者の状況や緊急度合いによって異なる4つの手段があります。

  • 任意整理
  • 個人再生(民事再生)
  • 自己破産
  • 特定調停

そして、これら債務整理の基本となるのが任意整理です。

任意整理とは

笑顔の先生債務整理の基本となるのが任意整理です。

任意整理とは、貸金業者と直接交渉を行って債務額や月々の返済額を減らし、現在の支払いの負担を減らす方法を指します。

利息制限法で定められた利率(借入額が10万円以上100万円未満の場合18%)よりも高い利息での借入に対して、減額が見込める手段です。

つまり、ショッピング枠や住宅ローンなどの利息制限法内の利率での借入は対象外となります。

債務者と貸金業者が交渉を行うこともありますが、一般的には債務者の代理人として弁護士が交渉を行います。

任意整理の目的は、弁護士が貸金業者と裁判を通さずに交渉をまとめる和解交渉です。

もしも交渉がまとまらず決裂した場合、裁判を通す債務整理である個人再生や自己破産といった方法に進んでいきます。

任意整理のメリット

メリットのイメージ

債務整理の基本である任意整理には、以下5つのメリットがあります。

  1. いったん返済が停まる
  2. 将来の利息が免除される
  3. 手続きがかんたん
  4. 一部の債権者だけを選んで整理できる
  5. 過払い金が取り戻せる可能性がある

任意整理を行うと、貸金業者などからの催促がいったんストップします。

将来の利息をカットするように弁護士が和解交渉するため、将来分の利息が免除され返済負担が減るのも大きなメリットです。

ほかにも手続きが簡単、複数の債務がある場合は任意の債権者だけを選んうえでの任意整理もできます。

さらに返済期間が長い場合は、すでに発生していた過払い金を取り戻せる可能性もあるのを覚えておきましょう。

任意整理のデメリット

デメリット、注意点のイメージ

任意整理には以下のデメリットがあります。

  • 信用情報機関に事故情報登録される
  • 自己破産や個人再生と比べても減額効果が薄い

任意整理を行うと、信用情報機関に5~10年間事故情報登録されます。その間新規の借入やローン契約はできません。

また、任意整理は法定利率に引き直して債務の減額が期待できますが、原則借金すべてを支払うために行う手続きです。

他の債務整理方法である自己破産や個人再生と比べて、債務の減額効果は薄いことを覚えておきましょう。

 

任意整理の流れ

任意整理は、以下の流れに沿って進んでいきます。

専門家に相談

債権調査

取引履歴の開示・利息制限法による引き直し計算

和解交渉

和解契約締結

任意整理は、債務整理の中でも原則借金すべてを返済するのを前提としています。

任意整理を行っても自己破産のように免責を受けられるわけではありません。

また借入先の中には、任意整理に応じない業者もいるのを覚えておきましょう。

専門家に相談

任意整理を行うことを決めたら、弁護士などの専門家に相談し、依頼をします。

債権調査

その後、依頼された専門家が具体的な借入状況を把握するための債権整理を行います。

取引履歴の開示・利息制限法による引き直し計算

債務整理の第一歩は、借入先の金融業者に対して、取引履歴の開示を請求することです。

取引履歴が開示されたら、利息制限法によってどのくらい減額できるか、過払い金が発生しているかの引き直し計算を行います。

なお、この時発生した過払い金で借金が完済している、さらに余剰がある場合は払いすぎている過払い金の返還請求も行います。

和解交渉

引き直し計算の後、貸金業者との和解交渉のために返済可能見込み額や支払い開始日、分割回数などを決めた上で、和解交渉に入ります。

和解契約締結

各借入業者間との和解交渉の後、和解合意となれば和解契約を凍結し、契約に沿った支払いを完済まで続けます。

任意整理の注意点

注意を促すりん先生

債務整理の中でも、任意整理は最も多くの人が利用している方法です。

任意整理の利用を検討する前に、以下2つの注意点を覚えておきましょう。

【任意整理の注意点】

任意整理をしても借金が無くなるわけではない

任意整理に応じてくれない業者もあること

任意整理は、債務整理の中でも原則借金すべてを返済するのを前提としています。

任意整理を行っても自己破産のように免責を受けられるわけではありません

また借入先の中には、任意整理に応じてくれない業者がいるかもしれません。

そのような業者はごくわずかですが、経営が順調ではない中小の消費者金融などは、任意整理に応じてくれない可能性があります。

そういった業者と任意整理の手続きに踏み切るのは一旦止めておいて、任意整理に応じてくれそうな業者から話し合いを進めていくのが賢明です。

任意整理が難しいケース

任意整理に応じてくれない業者はごくわずかとお伝えしました。

それとは別に、業者関係なく債務整理に応じてくれない可能性が高まるケースというものも存在します。

それが以下のようなケースです。

債務整理に応じてくれない可能性が高まるケース 理由
お金を借りてすぐ 「初めから返済の意思がなかったのでは?」と疑われるから
低金利で借りている 金利の支払いを免除したとしても、支払い能力以上の借入をしている可能性が高いから
担保を提供している 担保をすぐに現金化して返済に充ててもらう方がいいから
すでに民事訴訟に発展している 話し合いで解決するより、裁判で解決する方が強制力が強いから

上記のようなケースでは、任意整理の交渉が難航すると予想できます。

その場合、個人再生や自己破産についても視野に入れておいてください。

では続いて、任意整理以外の債務整理方法をひとつずつ紹介していきます。

個人再生とは

個人再生とは、個人の家や土地といった財産を所持したまま債務を減らし、3年間で分割して返済していく債務整理の方法です。

民事再生とも呼ばれています。

また、個人再生は小規模個人再生給与所得者等再生の2つに分かれます。

小規模個人再生

小規模個人再生とは、以下の条件に当てはまる人が利用できる債務整理の方法です。

  • 債務額が住宅ローンを除いて5,000万円以下
  • 債務の返済不能になる可能性がある
  • 継続した収入を得る見込みがある

この条件にあてはまる人が、法律で定められた最低弁済額、または保有している財産の合計金額(清算価値)のどちらかを原則3年間で返済していきます。

なお、小規模個人再生を利用するには以下の2つの要件を満たし、裁判所に再生計画を認められなければいけません。

  • 債権者の数の2分の1以上の反対がない
  • 反対した債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていない

給与所得者等再生

給与所得者等再生は、小規模個人再生を利用できる人の中で給与所得などの安定的な収入があり、収入額の変動が少ない人が利用できる個人再生です。

給料所得者等再生は、小規模個人再生よりも返済額が高額になります。

なぜなら最低弁済額と清算価値のほか、所得税などを控除し、さらに政令で定められた生活費を差し引いた金額である可処分所得収入の2年分のうち、いずれか多い方の金額を最低限返済する必要があるからです。

ただし、「債権者の数の2分の1以上の反対がない、かつ反対した債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていないこと」という再生計画を認めるための要件が不問で利用できます。

個人再生のメリット

債務整理の方法に個人再生を選ぶと、3つのメリットがあります。

  1. 債務の大幅な減額が期待できる
  2. 財産の処分がない
  3. 資格制限がない

個人再生は債務の5分の1程度までの減額が期待できます。

また、家や土地といった高額の財産を所持しながら返済を進められる方法のため、財産を手放す必要もありません。

さらに、債務整理を行うことで一定の職業に就けなくなる資格制限もありません。

個人再生のデメリット

個人再生のデメリットは以下の3つです。

  1. 債務は減額になるがすべてなくなるわけではない
  2. 住宅ローンは減額対象にならない
  3. 信用情報機関に事故情報として登録される

個人再生を利用すると債務は減額さるものの、返済が免除されるわけではありません

また、住宅ローンは減額の対象にはなりませんので、返済の義務があります。

さらに、個人再生を行うと信用情報機関に事故情報として5~10年間登録されますので、その間新規の借入やローン契約ができなくなります。

個人再生が向いている人

個人再生は、住宅や土地などの処分されたくない高額な財産を持っている人や、格制限対象になる職業に就いている人に向いている債務整理です。

自己破産とは

自己破産とは、債務を返済できる能力がない事を裁判所に認めてもらい、法律上の返済の義務を免除される(免責)手続きです。

債務返済能力がない(支払不能)状態と認めらており、原則過去7年以内で免責を受けていない人が利用できます。

自己破産のメリット

自己破産のメリットは、債務の返済義務がなくなることです。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットは、高価な財産がある場合処分されることです。

具体的には99万円を超える現金、時価20万円を超える財産が該当します。

また、自己破産すると特定の職業に就けなくなる資格制限を受けるため、資格制限の対象職の人は失業する恐れがあります。

自己破産が向いている人

自己破産は、生活の建て直しに有効な債務整理法です。

借金の返済で生活が立ち行かない人に向いています。

特定調停とは

特定調停とは、弁護士に依頼せず債務者本人が簡易裁判所に申し立てを行う債務整理方法です。

特定調停のメリット

特定調停には以下5つのメリットがあります。

  1. 費用を安くおさえられる
  2. 債権者と直接交渉しなくて済む
  3. 取り立てを止められる
  4. 資格制限がない
  5. 借金の理由が不問

特定調停は債務者本人で手続きを進めるため、弁護士の依頼費用がかかりません。

つまり、債務整理そのものにかかる費用を安く抑えられます。

また、簡易裁判所に申し立てを行いますので、債権者と直接交渉も行いません。

ほかにも、特定調停の申し立て受付票が債権者に送付されると取り立てが止まる、資格制限を受けない、借金の理由は問わず利用できるといったメリットもあります。

特定調停のデメリット

特定調停には以下5つのデメリットがあります。

  1. 手続きはすべて自分で行う
  2. 思ったよりも債務額が減らないことがある
  3. 返済が滞ると強制執行になる
  4. 特定調停が成立しないと、結局個人再生や自己破産を選択することになる
  5. 過払い金の請求はできない

特定調停最大のデメリットは、書類の作成から申し込み、裁判所の出頭などをすべて自分で行うことです。

裁判所への出頭は平日のみですので、仕事がある人は出頭するのが難しくなります。

さらに、借入先が複数あればその分だけ作成する書類も増えますし、出頭機会も増えるでしょう。

また、引き直し計算をしても思ったより借金額が減らない、過払い金請求ができないなど、必ず債務者にメリットがあるとは言えない場合があります。

特定調整が成立した後で返済が滞ると、裁判所からの強制執行を受けるリスクもあることも覚えておかなければいけません。

返済不可能とみなされて特定調停が成立しなかった場合は、結局個人再生や自己破産へ移行することになり、最終的に二度手間となる可能性もあります。

特定調停が向いている人

手間よりも債務整理費用をできるだけ抑えたい人や安定した収入があり、返済遅延のリスクがない人が特定調停の利用に向いています。

また、債権者を選んで整理したい人にも特定調停がおすすめです。

過払い金請求とは

過払い金請求とは、貸金業者に払い過ぎた利息である過払い金を請求できる方法です。

つまり過払い金請求は、厳密には債務整理ではありません。

過払い金請求は個人で交渉もできますが、より確実な交渉をするために弁護士への依頼も可能です。

なお、過払い金請求を行うと信用情報機関に事故情報として登録されますので、借り入れやローンが組めないといったデメリットも覚えておきましょう。

債務整理にかかる費用

債務整理にかかる費用は、主に弁護士などの専門家への依頼費用、さらに裁判所や書類送付などの手続きにかかる費用の2つに分かれ、債務整理の方法によって異なります。

おおよその相場は以下の通りです。

任意整理にかかる費用 弁護士費用:3万円+減額報酬10%
個人再生にかかる費用 弁護士費用:約50万円 、手続きにかかる費用:20万円
自己破産にかかる費用 弁護士費用:約30万円 、手続きにかかる費用3~50万円

なお、手元にまとまったお金がない場合は分割での支払いもできます。

分割支払いの回数は弁護士事務所によって異なりますが、12回払いまでが一般的です。

なお、弁護士事務所では依頼前に無料相談を行っているところが多いので、債務整理とともに支払いに関する相談も事前にしておくと安心でしょう。

債務整理の費用をおさえるには

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債務整理の費用をおさえるのに有効なのが「法テラス」の利用です。

法テラスとは正式名称「日本司法支援センター」といい、日本全国47都道府県に支所を構えています。

弁護士や司法書士による無料相談が受けられるほか、もしも債務整理に必要な費用がない場合に法テラスを利用すると、いったん法テラスが費用を立て替えてくれるのです

法テラスが立て替えてくれた費用は分割払いで支払っていくことになりますが、この支払手数料も「民事法律扶助制度」によって安くおさえることができます。

ただし、民事法律扶助制度を利用するには単身者の場合は給料が約18万円以下、資産が180万円以下などの「一定以下の資力」の状態が認められないと利用できないので、注意しましょう。

まとめ

債務整理は、借金問題で苦しい状況から抜け出すための法的手段です。

もちろん、債務整理などをしなくて済むのにこしたことはありませんが、最後の手段としてこのような救済処置があることは覚えておいて下さい。

生活が立ち行かないほど借金に悩んでいる場合は、弁護士や法テラスへの相談を検討してみましょう。

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